urology
泌尿器科
泌尿器の病気に見られる主な症状
1.血尿:おしっこに血が混じるおしっこに血が混じる血尿には、目で見てわかる肉眼的血尿と目で見て変化はないものの尿検査で血が混じっていることが判明する顕微鏡的血尿があります。
血尿は、腎臓・尿管・膀胱・尿道に連なる尿路のどこで出血しても起こり、泌尿器科疾患の重要なサインとなります。また、男性の場合、前立腺が尿道に接しているため、前立腺の異常も疑われます。
腎臓や尿路の悪性腫瘍や腎尿管結石、膀胱炎などの炎症、腎臓の内科的な病気など様々なものがあります。特に、膀胱がんは肉眼的血尿を契機として発見されることが非常に多いです。
夜間頻尿:夜間に何度もおしっこに起きる
「おしっこが近い、おしっこへ行く回数が多い」という症状を頻尿といいます。
日本泌尿器科学会では、「1日に8回以上」を一つの目安としていますが、それより少ない回数であっても、本人が気になるようならば「頻尿である」と判断する、としています。つまり、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも、自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。また、夜間頻尿は夜間トイレに何度も起きるもので、加齢とともに頻度が高くなっていきます。
頻尿の原因は、尿路感染症や炎症によるもの、過活動膀胱、前立腺肥大、残尿、多尿、腫瘍、心因性のものなど様々なことが考えられます。また、夜間頻尿の原因は、夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害などが考えられます。
尿失禁とは自分の意志とは関係なくおしっこが漏れてしまい、社会的・衛生的に支障をきたすようになった状態のことを指します。年をとると、女性は尿道の位置の変形や骨盤底の筋肉群の機能低下が起こりやすく、腹圧がかかった時の尿もれや、トイレまで我慢がきかない尿もれが起こりやすくなります。男性の場合は、加齢に伴って前立腺が肥大化し、その結果、前立腺の中を通る尿道が狭くなり、おしっこが出にくくなることがあります。また、尿道がたるんで、折れ曲がった尿道におしっこが残り、排尿後に無意識に漏れたりすることもあります。
- 腹圧性尿失禁
急に立ち上がった時や重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入ったときに尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。膀胱や尿道の働きはほぼ正常ですが、骨盤底筋群という尿道括約筋を含んだ筋肉が緩むためにおこります。 - 切迫性尿失禁
急な尿意を我慢できずに、もらしてしまうタイプの尿失禁です。排尿をコントロールする神経に異常が起き、尿が少ししか溜まっていないのに膀胱が勝手に収縮してしまう、膀胱の過活動(過活動膀胱)が原因です。多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたしてしまいます。 - 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
膀胱が満タンになっているのに尿意を感じない、自分でおしっこを出したいのに出せない、でも尿が少しずつ出てしまう溢流性尿失禁があります。 - 機能性尿失禁
排尿機能は正常ですが、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁です。例えば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できない、といったケースです。 この尿失禁の治療は、介護や生活環境の見直しを含めて、取り組んでいく必要があります。
腎臓で作られたおしっこが膀胱にたまると、その信号が脳に伝えられます。すると脳から排尿を促す信号が排尿筋に伝えられ収縮します。これと連動して、膀胱の出口を閉じる作用をしていた外尿道括約筋がゆるみ、尿の出口が開いて排尿が行われます。排尿に関わる症状は、尿を出すことに問題がある排尿症状、尿を溜めることに問題がある蓄尿症状、排尿した後の症状である排尿後症状に分けられます。多くの方が、様々な排尿の問題を抱えていますが、通常はこれらの症状が複合的に絡んでいます。
- 前立腺肥大症
男性が50歳を超えるころから増える疾患で、肥大化した前立腺が尿道を圧迫することで排尿困難が起こります。 - 膀胱結石・尿路結石・尿道結石
膀胱や尿路、尿道に結石ができる疾患です。尿の通り道にできる結石が障害になるため、尿がスムーズに流れなくなり、排尿に時間がかかる排尿困難が生じます。また、結石が尿の通り道の壁を傷つけると血尿がみられ、腰痛や下腹部の激しい痛みをともないます。 - 急性膀胱炎
膀胱内に細菌が侵入して炎症を起こすのが膀胱炎です。長時間のトイレの我慢や、過労による抵抗力の低下、冷えによる水分代謝の低下などが原因で起こります。圧倒的に女性に多く、再発しやすく慢性化すると尿が溜まるだけで痛みが生じます。 - 神経因性膀胱
神経の疾患により膀胱の運動をコントロールする神経が障害を受けるために、膀胱の働きが障害される状態をいいます。原因疾患としては、糖尿病による末梢神経障害(膀胱の神経も含む)、腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による膀胱への神経の圧迫、子宮がん・直腸がん手術における膀胱への神経の損傷などが挙げられます。 - 尿道狭窄症
尿道の内側が狭くなるために尿が出にくくなる疾患です。以前は淋病や結核菌による慢性的な炎症が原因になるケースが多くみられましたが、近年は手術や検査などで尿道にカテーテルや内視鏡を挿入することで尿道を傷つけてしまうために起こるケースも多くみられます。
尿閉とは、膀胱から尿を排出できなくなった状態のことです。膀胱の筋肉の収縮の障害、膀胱の開口部の閉塞(下部尿路閉塞)、膀胱の収縮と膀胱開口部を閉める筋肉(尿道括約筋)の弛緩との協調不全などがあります。
医薬品の副作用として、総合感冒薬や花粉症の薬にも含まれる抗ヒスタミン薬や一部の抗うつ薬などは尿閉を引き起こすことがあります。
また、尿が出ない場合には、腎臓の機能低下のために尿が造られなくなり、膀胱に貯まる尿が少なくなることも考えられます。これは、腎不全と呼ばれる状態です。
- 前立腺肥大症
おしっこを体外に排出する尿道が前立腺の肥大により狭くなることがあるために起こります。ほとんどの場合の原因は前立腺肥大症であり、尿閉が出現するのは原則として男性に多いということになります。前立腺が大きい人の方が尿閉になりやすい傾向があります。長時間の座位、飲酒、時には咳止め薬、などが誘因になることがあります。 - 神経因性膀胱
膀胱の働きをコントロールしている神経に障害がある場合には、その障害の場所と程度によっては、膀胱の収縮が不十分になり尿が出ないということが時に起こります。
PSAとは、prostate specific antigen= 前立腺特異抗原の略で、主に前立腺から精液中に分泌されるタンパク質の一種です。その一部は血液の中にも流れ出ており、健康な人のPSAはおおよそ2ng/mL以下です。加齢にともなう前立腺の肥大や炎症によりその値が増えることがあり、一般的に4ng/mL以下が標準値とされています。しかし、前立腺に異常がある場合には、PSAは血液中に大量に放出されて濃度が高くなり、前立腺に異常がある場合にのみ反応することから、前立腺に特異的な抗原といわれ、前立腺がんの腫瘍マーカーとして使われるようになりました。
- 前立腺癌
- 前立腺肥大症
- 前立腺の炎症
- 外部からの刺激
- 射精
腎臓は背中側の腰の少し上あたりに位置しており、左右1つずつあります。そら豆のような形状で、重さは約150gくらいです。腎被膜という膜に囲まれており、その膜が引き伸ばされる時に、つまり、腎臓自体が何らかの原因によって腫れてくると膜が外側に圧迫される形となり、痛みが出現します。
- 尿路結石 詳しい説明はこちら
腎被膜が急激に引き伸ばされると激しい痛みがきますが、その典型的なものが、尿管結石による痛みです。結石のできる部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれます。尿管の中で詰まった石により、その上流の腎臓側の尿管や腎盂といわれる部分に尿が過剰にたまり、腎盂の内圧が上昇します。この状態を水腎症といいます。結石の場合は急激に起こる水腎のため激痛を伴います。 - その他
尿路結石以外にも尿管狭窄や、尿管腫瘍などによる尿の通過障害や、神経因性膀胱などによりに水腎症は引き起こされ、痛みを伴います。腎臓がんや腎のう胞などでも痛みを感じる場合があります。急性腎盂腎炎では腎臓の炎症に伴って痛みを生じます。その他にも腎臓の動脈が血栓で詰まる腎梗塞という病気でも激しい痛みを生じます。
膿とは、炎症を起こした部位が化膿して生じる黄白色または黄緑色の不透明な粘液で、主に白血球と血清からなります。尿道口から出ている膿の状態には膿の色が濃く、多量に出ている状態と、膿の色が薄く、量も少ない状態に分けられます。
- 淋菌性尿道炎
尿道口から膿が出るのは、尿道口から侵入した病原菌が尿道の粘膜に感染して尿道炎を起こしているのが原因です。尿道炎は主に性行為によって起こります。性行為後、潜伏期間を経て尿道口から濃い膿が多量に出て、強い排尿痛を認めます。 - 非淋菌性尿道炎
性行為後、潜伏期間を経たのちに尿道口からやや水っぽい薄い膿が少量出ますが、軽い排尿痛を認めます。その原因菌は約半数はクラミジアです。