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泌尿器科

 

尿路結石症について

尿路結石とは

 痛みを伴う病気はいろいろありますが、胆石、すい炎、尿管結石の痛みは、「3大激痛」といわれ、中でも尿管結石は昔から、「七転八倒の苦しみ」と表現されるほどです。夜間や早朝に起きることが多く、通常、3~4時間持続します。突然の激痛を初めて経験する人は、救急車を呼ぶことも多いようです。

それほどの痛みを引き起こす尿管結石とは、どのような病気でしょうか。

 腎臓では水分以外に多くのものが濾過されますが、必要なものは再吸収され、残ったものが尿になります。この尿中に含まれるカルシウム・マグネシウム・尿酸などの成分が、腎杯や腎盂で結晶化し結石となります。多くの場合、結石は、腎臓の中にできます。結石は、腎臓にある間はほとんど痛みがありませんが、結石が腎臓から細い尿管へ下降すると、突然、疝痛発作と言われる激痛を発するようになります。これが、尿路結石の典型的症状で、いわゆる“のたうちまわる痛み”です。結石のある部位によって、腎結石・尿管結石・膀胱結石といいますが、総称して「尿路結石」ともいいます。

尿路結石の症状

 症状としては、激しい腰背部痛・側腹部痛・下腹部痛のほかに、結石の放散痛としての精巣の痛みや、吐き気や嘔吐、血尿を伴うこともあります。また、下部尿管に位置する結石では同時に膀胱刺激症状を伴うことも多く、頻尿、残尿感が起こります。一部には腎盂腎炎を併発し、38~40度の発熱を呈することもあります。
 尿管結石は激痛があるのに対し、腎臓結石では痛みは殆どありません。そのために結石がどんどん大きくなることがあります(サンゴ状結石)。また、膀胱にできる結石も痛みはあまり見られません。



尿路結石の症状

尿路結石の発症

 尿路結石は、30~60代の男性に多く、結石の9割以上は上部尿路の腎結石・尿管結石ですが、下部尿路の膀胱や尿道にも発症します。尿路結石は、近年増加傾向にあり、日本人では、生涯のうちに結石に罹患する確率は約10%と言われています。症状がある場合の約70%、直径が8㎜以下、特に5㎜以下の結石の場合は自然排石の可能性が大きく、全体の約60%は自然排石すると言われております。一方、残りの30%は何らかの外科的治療を必要とします。

 

尿路結石の診断

 尿路結石は、主に症状、尿検査、画像診断によって診断が行われます。結石と診断される場合、その大きさや結石のある場所、尿路の閉塞状態も考慮し、それらの情報をもとに、治療方針を決定していきます。
 尿検査では、血尿の有無、細菌の存在、結晶の有無などをみます。画像診断には、レントゲン検査(腎尿管膀胱単純撮影(KUB))やCT、超音波検査、静脈性腎盂尿管撮影(IVP・DIP)などがあり、患者さんの状態により選択されます。
 また、術後の結石分析も重要であり、その成分を分析することで、再発予防策の検討に役立てることが出来ます。

 

尿路結石の主な検査方法

  
  1. 単純X線撮影 (KUB)
     腹部単純エックス線撮影とも呼ばれます。エックス線を使用した画像診断方法です。造影剤を使わず、腎・尿管・膀胱の状態を把握することができますが、大きさが小さい結石や、腸管内のガス像が多い場合、結石の性状、部位により骨盤骨と重なるなど、まれにKUB下で、写らない結石もあります。
  2. 超音波検査
     拡張した腎盂、尿管を確認することで結石による尿流閉塞の程度を把握、腎内の結石や膀胱の結石の診断にも有用です。
  3. 排泄性腎盂尿管造影(DIP・IVP)
     静脈内に造影剤を注入し、造影剤が膀胱に達するのを待って、腎臓・尿路系のⅩ線撮影を行ないます。造影剤の注入を静脈注射により行なうものを静脈性腎孟造影(IVP)、点滴静注により行なうものを点滴静注腎孟造影(DIP)といいます。腎臓・尿路系の機能・形態の診断に用います。
  4. CT検査
     CT検査とはレントゲンを照射して、コンピューターで処理をして、身体の断面を画像化する検査です。尿路結石症の検査の中でも優先度が高いものです。超音波検査や単純X線検査では、結石が写らないこともありますが、CT検査ではこのような見落としはほとんどありません。また、結石が尿路を塞ぎ、尿の流れをさまたげている「水腎症」などの情報も読み取ることができます。


尿路結石の主な検査方法

尿路結石の主な治療

 尿路結石の治療法はいくつかあります。結石の大きさや場所によって治療方法が異なります。また、複数の治療方法を組み合わせて治療が行われる場合もあります。
一般的には、小さな結石は自然に排石される可能性が高いので、排石を促す薬物治療を行います。大きい結石の場合には、自然排石される可能性が低いため、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡手術が選択されます。
治療方法の選択は、結石の位置、大きさ等や患者さんの状況により変わりますので、担当医師にご相談ください。

  
  1. 自然排石
     尿と一緒に排石を促す治療方法です。排石を促すための薬物と、場合によっては、痛みを緩和する薬物治療も同時に行われます。
  2. 体外衝撃波砕石術(ESWL)
     体の外から衝撃波を当て結石を割る治療です。砕かれた石は尿と一緒に排石させます。当院では、この治療は日帰り治療で行っております。
  3. 経尿道的結石砕石術(TUL)
     内視鏡を使用した治療方法です。経尿道的尿管砕石術(TUL)は、尿道から細い内視鏡を入れて尿管または腎臓の結石をレーザなどの砕石装置で砕石します。破砕された結石片は、手術中に体外に取り出すことができます。使用される内視鏡は、硬性内視鏡か軟性内視鏡のいずれかで、治療部位により選択されます。治療効果の高い手術として近年増加しています。入院期間は、数日〜1週間程度になります。
  4. 経皮的腎・尿管砕石術(PNL)
     内視鏡を使用した治療方法です。経皮的腎・尿管砕石術(PNL)は背中に小さな穴を開け、その穴から内視鏡を入れ、腎臓の結石を砕石、取り出す治療です。TULとの違いは、比較的大きな腎結石に対して行われることが多い手術です。破砕した結石片は、比較的短時間で体外に取り出すことができます。反面、腎臓に穴をあけるので出血のリスクもあります。入院期間は、1~2 週間程度になります。

最後に

 結石は、すぐに生死にかかわる病気ではありません。しかし、痛みや排尿障害、血尿などにより、仕事や日常生活などに支障をきたしかねません。尿路結石を疑う場合は、泌尿器科の専門医の受診をお勧めします。

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