clinical laboratory department
臨床検査科
臨床検査は、主に生理機能検査と検体検査に分けられます。生理機能検査は、患者さんの体を直接的に調べる検査で、心電図検査や超音波検査などがあります。検体検査とは、血液や尿・便などを調べる一般検査や血液検査・生化学検査・細菌検査などがあります。
臨床検査室では、患者さんに安心して検査を受けて頂くこと、精度の高い検査結果を提供することを心がけています。
臨床検査科の理念
精度の高い検査結果の提供
医療安全
患者さんが安心できる丁寧な検査の実施
臨床検査科の基本方針
正確な検査結果の提供
迅速な検査結果の報告
安全・安心・丁寧な検査の実施
検査値の質を確保し維持するための業務を精度管理と言います。施設内部で行う内部精度管理と施設間で測定値を比較する外部精度管理があります。当院も外部精度管理に積極的に参加し知識・技術の向上に取り組んでいます。また、患者さんが検査に不安を持たれないように丁寧な説明や、患者さんの待ち時間短縮を図れるよう心がけています。
当院で行っている主な検査
1.生理機能検査(1)心電図検査
安静時心電図検査
心臓の電気信号を波形として記録する検査です。心臓で起こっていることや、心臓の周囲で起こっていることを反映します。主に不整脈や心筋の虚血・壊死・炎症(心筋梗塞、狭心症、心筋炎など)、心房・心室の負荷、電解質異常、薬剤の影響などが分かります。
検査受診時の服装は、胸部に電極装着のためワンピースなどの上下のつながった服装は避けてください。また、腰まであるストッキングやタイツは検査のあいだ脱いでいただきます。両手首と両足首(左足首)、胸部に電極を装着します。胸や手足につけた電極から電流が流れるわけではありません。胸部電極の跡は、個人差がありますがいずれ消失しますので心配はいりません。
ECG-1250 cardiofax S
ECG-1450 cardiofax V
ホルター心電図検査
日常生活の心電図を記録し観察する検査です。動悸、息切れ、胸の痛み、脈のみだれなどの症状があった時の心電図がどのような波形になっているか、約24時間記録します。
検査方法は、胸部にシールタイプの電極を数か所貼りホルター心電計を装着します。あとは普段どおりの生活をしていただき、検査終了まで心電図を記録し続けます。翌日来院して装置を外します。結果は後日になります。
当日の服装は、機器の装着のためワンピースなどの上下のつながった服装は避けてください。就寝時は電気毛布の使用を控えてください。また、低周波治療器もノイズが混入する可能性がありますので使用しないでください。当院のホルター心電計は、防水タイプで、時間と温度制限はありますが入浴可能(石鹸・シャンプー不可)です。機器寸法 58×67×20㎜、装着時の重さ67gと小型で軽量です。当日お渡しする行動記録メモは心電図を診断する上で重要な情報です。検査中の行動や自覚症状(どんな軽いものでも)とその時刻を記入してください。普段どおりの生活をしていただき、安静にする必要はありません。
瞳孔の奥にある眼底を観察し、眼底の血管、網膜、視神経を調べる検査です。眼科では、網膜剥離や眼底出血、緑内障などの目の病気を調べるときに行いますが、眼底の血管は人間の体の中で唯一直接に血管を観察できる部位のため、そこを観察すると動脈硬化、高血圧などの全身の病気が推察でき生活習慣病の検査として有効です。
眼底検査は大きく分けて2つの方法があります。1つは医師が照明とレンズを用いて、瞳孔に光を入れて観察する方法と、眼底カメラを使って眼底の写真を撮影し、後から医師が写真を観察する方法があります。さらに、眼底カメラの撮影方法には、主に眼科以外の施設において、目薬で瞳孔を開かずに検査できる「無散瞳型」と、眼科にて瞳孔を開いて検査する「散瞳型」があります。当院は健康診断や人間ドックでよく実施されている無散瞳型で撮影します。
検査方法は、検査台に顎と額を固定し眼底(眼球の奥底)の写真を撮影します。撮影時にフラッシュで眩しく感じ、残像が残ることがあります。
ハードコンタクトレンズを使用されている方は、コンタクトレンズケース・保存液をお持ちください。
無散瞳デジタル眼底カメラ
眼底検査に真価を発揮するEOSテクノロジー
何らかの症状があって医師が必要と思われた時に行う場合と、通常の健診や人間ドックで行われる肺の胸部X線検査に加え、換気の機能を調べる検査です。現在は問題がなくても、肺の健康に関するリスクを知ることが出来ます。喫煙や呼吸器疾患の予防、早期発見・早期治療に役立ちます。
また、手術を予定している患者さんにおいては、全身麻酔の手術が可能かどうかの判断や手術の際の麻酔の方法を選択するためにも行います。
当院では、主に肺活量(VC)、努力性肺活量(FVC)、1秒率(FEV1.0%)を主に検査します。
① 肺活量(VC):
空気をいっぱい吸い込んでいっぱい吐いたときの量で、肺のおおまかな能力を表します。さらに性別・年齢・身長から求めた標準値(予測値)に対する割合を%VCと言います。%VCが80%以上を正常と考えます。
② 努力性肺活量(FVC):
息をいっぱい吸い込んだときからできるだけ早く息を吐ききる努力(強制呼出)をした時の肺活量。気道の閉塞があると減少します。
③ 1秒率(FEV1.0%):
努力性肺活量の最初の1秒間の呼出量を1秒量(FEV1)と言い、努力性肺活量(FVC)に対する1秒量(FEV1)の割合を%FEV1と言います。70%以上を正常と考えます。1秒率(FEV1.0%)の低下は起動閉塞の存在を意味し、臨床上、起動閉塞の程度の最もよい指標と考えられています。
%VCと1秒率(FEV1.0%)の2つの指標を用いて肺の換気の障害を正常、拘束性、閉塞性と両者の混合性の4つに分けます。主な病気は、
拘束性肺機能障害:間質性肺炎、肺線維症、肺結核後遺症
閉塞性肺機能障害:気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)
呼吸機能検査は心電図や超音波検査と違い患者さんの最大の協力がないと正確な値がでません。患者さんの様子を見ながらお声かけをしますので、ご協力をお願いします。
超音波を用いて体の臓器を見る検査です。「超音波」とは人の耳に聞こえない高い音のことです。体表面にゼリーを塗り超音波の探触子(超音波を出しはね返ったものを受けとめる装置)を当てます。検査部位によっては、技師がかける声に合わせて呼吸をコントロールしていただきながら検査をします。画像を見やすくするため、室内の電気を消して検査を行います。必要に応じて衣服を脱いでいただくことがあります。頸動脈、甲状腺以外の検査では、ワンピースなど上下のつながった服装は避けてください。
受診者に苦痛を与えることなく、X線検査と異なり被ばくもない検査です。
緊急対応はもちろんのこと、ご希望に添えない場合もありますが予約なしでの受け付けも可能な項目もありますので、お問い合わせください。
①腹部超音波検査:
肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、脾臓、消化管、膀胱、子宮、卵巣、前立腺などを観察します。
②心臓超音波検査:
心臓の形や動きを観察します。血流の速度や方向より異常な血流の有無や弁の機能の評価もします。
③頸動脈超音波検査:
動脈硬化の有無を観察します。頸動脈付近は動脈硬化の好発部位であり、この部位の動脈硬化の有無や程度を観察することによって、全身の動脈硬化の指標となります。
④甲状腺超音波検査:
大きさ、形、腫瘍の有無を観察します。
⑤乳腺超音波検査:
しこりの形状、腫瘍の有無を観察します。
⑥その他体表臓器:
リンパ節や皮下の腫瘍等を観察します。
キャノンメディカルシステムズ社
泌尿器科外来 1台
検査室 1台
(1)一般検査
尿検査、便検査、精液検査などの排泄液・排泄物を対象とする検査です。
尿定性:
試験紙に尿を滴下し、試験紙の化学反応による色調変化によって、尿中に排出される糖、蛋白、潜血の有無、程度などを短時間に調べる検査です。他に比重、PH、ケトン体、ウロビリノーゲンなどがあります。
尿沈渣:
尿中に含まれる有形成分を顕微鏡で観察します。主なものは赤血球、白血球、上皮細胞などの細胞や結晶、細菌などがあります。尿蛋白や尿潜血が異常値を示した時に行われます。
便潜血検査:
便から肉眼では見分けられないような極微量な血液を見つける検査です。主に大腸がん検診で用いられます。他、大腸炎、大腸ポリープなどを簡便に調べます。一般的に二日間の便を提出していただきますが、月経中(生理中)や痔の方の場合当然のことながら結果は陽性となりますので、時期をずらす、痔の具合が落ち着いているときに検査するなどご相談ください。
精液検査:
精液の性状、精液量、精子数、運動率などをマクラー(Makler)精子計算盤をもちいて顕微鏡下で観察します。
血液検査と凝固検査があります。血液検査は赤血球や白血球、ヘモグロビン、血小板の数や割合を調べることで、血液の病気や体の状態(貧血や炎症の程度)が分かります。凝固検査は止血の機能などを調べる検査です。また、血液をさらさらにする薬を服薬されている方は、薬の効果をみるために検査します。
血液を遠心分離すると、細胞成分と液性成分である血清に分かれます。生化学検査では血清に含まれる成分を分析して体の異常の有無や程度、治療後の判定などにも用います。生化学検査項目はたくさんありますが、代表的なものとして、
肝機能:
肝臓の障害の有無やその程度を調べます。
腎機能:
腎臓が悪くなると、たまった老廃物が血液中に増加するので、それらをみる事で大まかな腎機能の低下を知ることが出来ます。
脂質:
脂肪の消化を助けたり、ホルモンの合成に関わったり人体には必要な物質です。低すぎるとさまざまな問題を引き起こすこともあります。また多すぎると動脈硬化を促進させる一因ともなります。
糖質:
糖尿病の診断やコントロールの指標となる検査です。
電解質:
水などに溶けた時に、陽イオンと陰イオンに電離する物質のことです。Na、K、Ca、Mg、P、Clなどがあります。これらはミネラルとしても重要で、身体の機能の維持や調節など体内におる一定の範囲内で保持されています。これら電解質のバランスが崩れることを、「電解質異常」といいます。電解質検査とは、電解質のバランスが正常かどうかを見る検査です。
病原体が体内に侵入すると身体はそれを排除しようとします。その病原を“抗原”、抗原を排除するために作られるたんぱく質を“抗体”といいます。このような抗原・抗体を調べることで感染症や自己免疫疾患、腫瘍マーカー、ウイルス検査などを行います。
手術や治療で輸血が必要な患者さんに、血液型や交差適合試験、不規則性抗体などを調べる検査です。当院は事故や副作用を防止し、安全性の確保に取り組んでいます。
血液中に存在する酸素や二酸化炭素を総称して血液ガスといいます。主な測定項目は、pO2(酸素分圧)、pCO2(二酸化炭素分圧)、pH、HCO3(重炭酸イオン)、酸素飽和度(sO2)塩基過剰(BE)です。これらの数値から、患者さんの病態を知り治療方法を決めます。
pO2(酸素分圧):
酸素化の状態を知ることが出来るので酸素投与の適応や投与量を検討することが出来ます。
pCO2(二酸化炭素分圧):
肺胞における換気状態を知ることができるので、人口呼吸器の設定などに役立ちます。
pH:
溶液中の水素イオンの濃度を表す指数です。代謝性あるいは、呼吸性のアシドーシスかアルカローシスかを知ることが出来ます。
BE(base excess)塩基過剰:
塩基の過剰か欠乏を知ることができ、代謝性の変化を表します。
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は胃の中に棲息する細菌で、胃がんや胃・十二指腸潰瘍の原因になることが照明されています。また、MALTリンパ球や血小板減少性紫斑病などの珍しい病気の治療にピロリ菌感染が深くかかわっています。
当院ではいくつかのピロリ菌検査を行うことが出来ます。。
内視鏡を使って調べる検査
内視鏡検査を行ったときに胃の粘膜を採取して調べます。
検鏡法:
菌の存在を直接顕微鏡で確認できますが、採取したところに菌が存在していないと、陰性と判断されてしまうことがあります。
培養法:
採取した組織を培養して、金の存在をチェックします。除菌に使う抗生物質との相性(感受性と言います)を調べることもできますが、やや専門的な検査です。
内視鏡を使わずに調べる方法
尿素呼気試験:
ピロリ菌の産生する酵素(ウレアーゼ)が胃内の尿素を二酸化炭素とアンモニア分解することを利用し、呼気中の13C-二酸化炭素の増加を測定して、ピロリ菌の存在を判定する方法です。空腹の状態で来院して、薬を飲んでから約30分後に呼気を調べます。
血中抗体測定:
ピロリ菌に感染すると、本菌に対する抗体が患者さんの血中に産生されます。この抗体量を測定し、抗体地を調べることで、ピロリ菌感染の有無を検索するスクリーニング検査です。
便中ピロリ菌検査:
便中のピロリ菌の抗原を調べることで、ピロリ菌の存在を判定します。採取キットを使ってご自身で便を採取して、病院に持ってきていただく必要があります。